オタクの遊び場

この遊びの名前は、正直ハッキリとは覚えていない。
用意するのは、ビニールボール一つである。
これを、ゲームに参加している人の名前を呼びながら、屋根の上に投げる。
壁にぶつけて遊ぶ場合もあったが、屋根の方が圧倒的に面白い。
何故なら、どこから落ちてくるか予想ができないからだ。
転がって落ちてくるボールを、名前を呼ばれた者が受け取る。
ボールを受け取った者が、また別の人の名前を呼びながら、屋根の上にボールを投げる。
それを繰り返し、誰かが落としたところで、みんなは一斉にボールから逃げる。
その前から、離れた位置を取っていてもかまわない。
落としたボールを、落とした人が手に取ったら、「ストップ」と大きな声で叫ぶ。
すると逃げていた人は、その場でストップする。
ストップと言った人の死角にまで逃げていれば、ストップを無視して逃げる事も可能だ。
ボールを持った人が、みんなが止まっている事を確認すると、十歩でボールをぶつけられる人を探す。
たとえば、二歩東に歩いて、ボールを持った手でそこにいる人にタッチし、再び西に八歩進んで、別の人にボールをぶつける事も可能だ。
そうやって、より多くの人にボールタッチ、或いはぶつけて、勝利する。
誰もぶつけられなかったら、ボールを落とした人の負け、ぶつけられたら、ぶつけられた人の負けとなる。
負けた人には負けポイントが付き、三つ集まると罰ゲーム「死刑」が待っている。
壁に向かって立ち、壁に肘をつけてボールを持つ。
肘をつけたままボールを壁にぶつけ、跳ね返ったボールが三バウンドした場所に線を引く。
壁に背を向け立つ。
その人に向けてみんなは、線のところからボールをぶつける事になる。
ビニールボールだからあまり痛くはないけれど、半ズボンだった子供の頃だ。
太もも辺りに当たった時は、それなりに痛かったような気もする。
死刑が終わると、死刑された人はポイントがリセットされ、再びゲームを続ける事になる。
小学生時代を通して遊んだ記憶がある。